月別アーカイブ: 2015年5月

いのべーしょん。

皆様、前回の記事(参照:『沈黙。』)に対して本当にたくさんの反響をありがとうございました。心溢れるコメント・メッセージ、国際電話、はたまた日本の医療機関のご紹介等々、皆様の暖かさが心に染みました。本当に本当にありがとうございます。

さて、バセドウ病のことは、もう書かないと言ったものの、どうしても気になったので、本題に入る前に2点だけ追記させてください。

1.休学について
前回の記事、休学をしなくて良かった的なスタンスで書いてしまいましたが、休学も全然ありだと思っています!だから、休学を勧めてくれた周りにも本当に感謝しているし、あの時の状態を考えたら私だって、休学を勧めます。ただ私の場合は、学生寮に住んでいるため、休学手続きをしたら一週間後には住まいを追い出され、日本に帰国するしか選択肢はありませんでした。引っ越しをするのは金銭的にも体力的にもかなりしんどい状態でした。また、その時は全くもって勉強が楽しくなかったので、休学をしたらそのまま戻ってこないだろうと覚悟していました。休学=退学を意味していました。前回の記事のような書き方になったのはそのためだと思います。そのつもりで本気で退学の相談を職員の方にしたこともあります。そうすると、「まずはとにかく休学を」と、勧めてくれたことに感謝しています。
別に誰かに何かを言われたわけではありませんが、少し気になって。
休学/休職を考えている方がいたら、全くもってその決断も正しいと思いますし、むしろその方が良いことも多々あると思います!私は決して休学/退学せずに「頑張った」のではなく、決断する勇気がないだけだったのかもしれません。周りに迷惑をかけてでも、どんなに格好悪くてもズルズルいた方が、その時の私にとっては「楽」な決断だったのかもしれません。休学して日本に帰国しても、そのまま大学院に居続けても、どちらも私にとって同じくらい辛いと当時は思っていたので。
なので、身体に不調や違和感を感じている方は、私の前回の記事を読んで「この人はこんなに頑張ったんだから私だって・・・」などと、決して思わないでください。無理しないでください。休学/休職も勇気いる立派な決断です。私はたまたまその後、原因がわかり好転しましたが、もし病気が発覚しなかったら、心拍数増加等かなり心臓に負荷もかかっている日々を送っていたので、取り返しのつかないことになっていたかもしれません。私はただただラッキーだっただけです。だから、休学/休職を躊躇している方がいたら、決して頑張らずに身体を第一優先してください。

2.ニキビについて
前回の症状のリストに記載し忘れましたが、私はかなりニキビも症状としてありました。本来あまりニキビができないタイプなのですが、薬を飲み始めるまでは常に顔にできていました。特に不思議と、首周りにたくさんできました。首にニキビができるのはこれまでありませんでした。もしかたら甲状腺関係の病気の特徴なのかもしれません。もし首にニキビが最近よく出るなーと思われたら、もしかしてひょっとしたら甲状腺機能の障害からかもしれません。他の症状(参照:『沈黙。』)とも照らしあわせて、一度血液検査を検討してみてください。
ちなみに、薬を飲み始めてホルモンがコントロールされ始めたらずいぶん治まりましたよ!^^ まだホルモン量が変動しやすく、この間も病院で先生に薬の量を変更するように指示されました。血液検査も2週間に1度は受けています。それでも、本当に元気にしていて、勉強が楽しくて面白くて仕方ありません!甲状腺ホルモン量もほぼほぼ正常範囲内にまで戻っています。この病気とは長期戦になるので、ゆっくり向き合っていけたらと思っています。


うわー、既に長くなってしまいましたが!

本題:イノベーションについて!!

スタンフォードと言えば!というくらい、この単語を聞くし、最近は世界的にも流行っています、いのべーしょん。

先日、安部現首相の来米時にも、なんとここスタンフォードで『シリコンバレーと日本架け橋プロジェクト』について発表されました。直接拝聴でき、大変貴重な機会でした。
(各国トップも続々スタンフォードにいらっしゃいます。オバマ現大統領を筆頭に、ブータンの首相(初)やベルーの元大統領等々。さすがにオバマ大統領の時は、大騒ぎでしたしセキュリティが半端ではありませんでしたが、それ以外の方はわりと皆さん、さらっとやってきます。講演もそんなに大々的に告知されずに、本当にさらりと。恐るべし、スタンフォード)

スタンフォードが気になっている方の多くは、シリコンバレーを筆頭にしたアントレブームとかも意識されているのではないでしょうか。
ということで、久々スタンフォード情報はイノベーション/アントレプレナーシップについてにします♪

まず、スタンフォードのイノベーションの代名詞d.schoolについて。

d.schoolかっこいいですよ〜。説明よりも写真。
IMG_1960

ばばん。d.school内。天井からの吊り下げポスターに注目です。^皿^
IMG_1963なぜだかd.schoolの車まであります。用途不明。
d.schoolでパーティーがある時はなどはトランクを開けて、スナックやお酒を並べているところは目撃しました(笑) 普段は室内にあるのですが、なぜかこの時は外にありました。
そして、後ろの建物がd.school。窓バリ。

d.schoolはdesign thinkingが有名で、建物内の教室もひたすらホワイトボードとポストイットがこれでもか!ってくらい置いてあります。ラウンジもハイテク機器が置いてあったりして、近未来的で素敵です。ウェブサイトにいくとツアー等もあるようなので、ぜひ機会がある方は参加してみてください。

d.schoolはd.school専用のプログラムや修士課程もあるようですが、スタンフォードの他の分野のプログラムに所属しながらd.schoolの面白そうな授業を履修するのが一般的です。もちろん私が所属する教育大学院でも学生は皆、だいたい在籍中にひとつはd.schoolの授業を取りたい!と言っています。私も今学期”Designing the Professional”というキャリア形成の授業を履修しています。こういうのもd.schoolから提供されているのが、またなんともイノベーティブですね。けっこう時間かかるわりに1単位しかもらえませんが。ちなみに、やはりよくあるキャリアカウンセリングとはずいぶん違った角度からアプローチしています。PhD学生がメインの対象なので、ポスドクか民間か等の話しになることもありますが、かなり参考になります。2名の教授と多数のTAで成り立っている授業ですが、教授1名は超優良企業のマーケティングを長年担当していた方ですし、もう一方はengineering分野でdesign thinkingを普及されている方です。TAたちも皆所属がバラバラです。医学、生物学、哲学等々、以前この授業を履修してファンになったPhDの学生たちが担当しています。面白い構想です。

ちなみに、d.schoolの女子トイレの壁をちらっと初公開。

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壁がおしゃれーー。
思わず誰もいないのを確認してパシャリ。影絵が描かれています。

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こちらは毎年11月開催のその年の冬学期・春学期に開講される授業の紹介時。
夕方7時からの集まりでピザとソーダがTADA!で配られました。スタンフォードのありとあらゆる分野の学生が、ここぞというばかりに集います。混んでます。

d.schoolは単位ナシで短期間の授業等もあったりするので、自分の興味にあったクラスを履修できると面白いと思います!やはりグループワークのプロジェクトが中心で、何かを創り上げる授業が多いようです。


アントレプレナーシップ。

あまり私には関係ないや〜と思っていたアントレプレナーシップ。いわゆる起業家精神。

スタンフォードにいると自然とアントレプレナーの話を聞く機会が増えます。教育分野にも自分自身でNGOを立ち上げたという方もいますし、スタンフォードのMBAの日本人学生数名で起業した話も聞きました。本当にここにいるとシリコンバレーのIT系大企業に入社するより、起業が「かっこいい」感覚になってきます。不思議ですね。

私もちゃっかり色々と講演に参加しているのですが、今学期は特に”VIP: Very Impactful People – Social Innovation & the Social Entrepreneur”というゲストレクチャー型の授業を履修しています。社会問題に取り組むソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)たちが来校され、レクチャーをくださります。もちろんその団体のCEOに値するわけで。事業の内容もですが、個人的な話が聞けるのは本当に貴重ですね。それに皆さん人前で話すのが上手なこと上手なこと。

スタンフォードにいると、もちろん高額な授業料を払っていますが、それ以外にはお金を払わずに大物の話を無料、時には食事付きで聞ける機会が本当に多い!!素晴らしい環境にいるのだな、と実感せずにはいられません。

最も忘れられないのは、前述した授業とは別機会だったのですが、なんと、あのMalala Fundの創設者のひとりであるShiza Shahidさんでしょうか。圧倒的なインパクトがありました。カッコ良かった。しかも彼女はスタンフォードの学部卒ということ。まだ24~5才?!Forbesの30 Under 30にも選出されています。そりゃそうだ。マララとは発砲事件より前からつながりがあったようです。TEDでも話されているので、聞いてみてください。
ちなみにこの講演後にパキスタン出身の友人に話を聞いたところ、やはり講演での話は少し脚色されていて、友人が育ったパキスタンとは違うよう。パキスタンの都市部は、わりと平和で良い教育も受けられるし、彼女が語る姿だけがパキスタンではない、と教えてくれました。その友人も女性ですが、パキスタンで学士、修士(経済学)を終えて、フルブライト奨学生として私と同じプログラムで2つ目の修士号に向けて勉強しています。

(なぜか私のプログラム所属の途上国からの留学生のほとんどは、既に修士をひとつ持っている学生が多数。しかもひとつ目は教育分野ではなくて、皆こぞって経済学です。どうりで優秀なわけだ。)

と、まぁ、こんな環境にいるので、これまで全く考えていなかった社会起業も、今では選択肢のひとつです。もちろん私にその素質が備わっているとは到底思えないし、かなり可能性は低いけど、まぁ、なしじゃないかも程度に^^もちろん、進学前からの目標は変わっていません!

以上、イノベーションやアントレプレナーについてでした。この分野はスタンフォードの圧倒的な強さかと思います。

追伸:6月頃にApple, Google, そしてもしかしたらFacebook本社に遊びに行く話が出ています。もちろん友人たちのツテで中に入れるはず?!行った際は、ルポします!

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沈黙。

大変大変ご無沙汰していますm(__)m

何も言わず突然消え、更新せず、申し訳ございませんでした。特に、せっかくこのブログ経由で私のことを見つけご連絡をくださったにも関わらず、タイムリーに対応できなかった方々には、深く深くお詫び申し上げます。
また、万が一にも、このブログを楽しみにしていてくださった方がいたのであれば、期待を裏切り、心苦しい限りです。ごめんなさい。


さて、これまでの沈黙を破ります。

公にすることについて色々と考えましたが、隠すようなことでもないし、他にも同じ境遇の方々の力にもしかしたら少しでもなるかもという願いを込めて、胸を張ってカミングアウトします。

私、バセドウ病です。(英名:Grave’s Disease)

2009年に歌手の絢香さんが発表されたのと同じ病気です。他にも水泳選手の星奈津美さんも患われ、今年(2015)の1月に手術されたことを公にされています。また、母が教えてくれたのですが、つい先日、歌手の岩崎宏美さんも公表されたのだとか。

絢香さんが公表されたため、私もなんとなーく病名と甲状腺にまつわる何かくらいは知っていましたが、症状についての知識は皆無でした。もし知っていればもう少し早く病気のことに気付けたのかもしれません。
どうやら女性には珍しくない病気で、人口の1〜2%は患っているのだとか。また、バセドウ病は20代後半〜30代に発病するケースが多いようで、私もその典型です。原因は不明です。遺伝性とも言われますが、私の親族内でバセドウ病のことは、聞いたことがありませんでした。

超長文になりますが、以下に「症状」、「診断までの道のり」(長文)、「治療法」、「その後/私見」、「感謝」の5つのパーツに分けて、記載していきます。

【症状】
この病気は、甲状腺ホルモンが過多状態となり(甲状腺機能亢進症)、その影響で様々な症状が出ます。

ちなみに甲状腺とは喉内の下方にある器官です。甲状腺ホルモンは新陳代謝等の役目を担っているため、そのホルモンが増え過ぎてしまということは、寝ていても、座っていても、身体が常に疾走している状態になってしまっている、ということになります。

どうやら細かい症状は、ひとりひとり違うので、私の場合の症状を記録します。

・極度の疲労
・激しい鼓動(特に寝る前等に静まった環境にいると、ドクドクという音と違和感がありました。脈拍も座っている状態で130程度ありました)
・多汗(本来から汗っかきなのですが、比較にならない程でした。少し歩いただけで、尋常ではない汗の量でした)
・手足の震え(私は足にもかなりきました。立っているのがやっと、というくらい)
・皮膚のかゆみ(一過性のかゆみが2日程続いたことがありました。特に湿疹等もなく、夜中に突然皮膚全体がかゆくなり、寝付けないほどでした。その2日間だけでしたが)
・食欲増大/過食(エネルギーを常にものすごい勢いで消費しているので、本当にひたすらお腹が減り、食べても食べてもお腹が減っていました)
・体重増加(体重減少が症状としてよく取り上げられますが、私は過食により逆に増加しました。比較的若い女性にみられる傾向のようです。エネルギー消費ももちろん通常以上なのですが、この頃の食欲は半端ではありませんでした)
・過眠(本来はそんなに眠らないタイプで、目覚めも良いのですが、病気になってからひたすら寝てました)
・イライラ、不安
・集中力、やる気、興味、思考力の低下

という、ざっとこんな感じでした。考えてみれば、このブログにも緊張した時にものすごく足が震えたことについてや、渡米して間もないのに日本語力(思考力)の低下について触れていました。常に頭の中が曇っている状態でした。そして、上記の症状が日に日にひどくなっていきました。

【診断までの道のり】
多汗や震えなど、わりと渡米初期からあったものの、それよりも精神面への影響が顕著だったので、周りからもキャンパス内のカウンセリングへ行くことを勧められていました。実は、前回のブログ更新の翌日に日本にいる祖父が亡くなり、そのショックもあり、カウンセリングへ足を運びました。アメリカはカウンセリングにとても積極的ですし、心にあるものを吐き出すことを重要視しています。そのため、特に何もなくてもわりと一般的に周りの皆も通っています。私は疲労感、やる気・集中力のなさ、不安感、過食傾向、過眠傾向を訴えました。そうすると、うつ病と誤診され、抗うつ剤を勧められました。それはそれで、躊躇しつつも、良くなっていく気配もないので、一時期服用しました。しかし、全く効果がなく、むしろひどくなっていく一方でした(原因が違うのだから、仕方ありません)。

元気の良さと健康が取り柄の自分だから、まさか身体が病気だとは夢にも思わず、心の風邪だと周りも自分も思っていました。もちろんそれはそれで辛いのですが。

私は本来、目覚めも良く6時間睡眠の体質にも関わらず、その頃は目覚ましを何度もかけて、やっとのことで朝、目を覚ましても、ベッドから降りて顔を洗わなきゃと思うだけで、ものすごい疲労感/倦怠感に襲われ、授業にいかなきゃ・・・と思うと恐怖心にさいなまれ、横たわったまま「誰か助けて・・・」と本気で毎朝思っていました。それと同時に自分の意志で決断し、勉強して仕事を辞めて進学したのではないかと、自分を叱責し自己嫌悪に陥り、涙が出る、そんな毎朝を送っていました。もちろん日中も2〜3時間起きているだけで、ものすごい疲労/眠気に襲われ、とにかく横たわりたくなる、という感じでした。シャワーを浴びるのも疲れるので、長かった髪を40cm以上も切りました。髪を洗う/乾かす/手入れする労力を少しでも減らそうと。あまり言いたくありませんが、正直、勉強にも支障をきたしていました。そもそも英語だって日に日にしゃべり辛くなっていき、こっちきてから下手になったと周囲に愚痴をこぼしたりしていました。

そんな日々の中、多汗や震えも自分で勝手にきっとうつ病のせいだろうと思い込んでいました。「ストレス」というと良くも悪くも全てが説明できてしまいます。

しばらく続けたカウンセリングもなんだかしっくりこず、不安ばかりが募る頃、リストにも記載した皮膚のかゆみの症状が出ました。2日間で治まったものの、さすがにこれは身体がおかしいと思い、自分を奮い立たせて(なんてたってひたすら疲れている状態)、キャンパス内のクリニックへ行き、医師に相談すると「それもきっとストレスの影響だから様子を見ましょう、また症状が出たら教えて」と言われました。ここでもやはり「ストレス」とまとめられてしまう。ただ、最後に、「もし心配なら血液検査受けてみても良いですよ、スタンフォードの学生保険に入っていれば無料ですし」と言われ、無料ならばと思い、血液検査を受けてみました。

結果、TSHという甲状腺ホルモンにまつわる数値が、測定不能なくらい異常だったのです。

この結果を見て、すぐに医師から連絡が入り、私を不安にさせないようにと思ったのかわかりませんが「検査のミスということも十分有り得る。至急また血液検査を受けてみて」ということに。もちろん2度目も測定不能。そうして、やっと、本当にやっと、身体に異変があることに気付けたのです。

その後、紹介されたキャンパス外(といっても、スタンフォードメディカルの一部。場所がキャンパス外というだけ)の内分泌(Endocrinology)専門医で有名な先生に見てもらい、他の血液検査もいくつか受け、仕舞にはスタンフォードメディカルセンター(世界水準の超がつくほどの立派な病院)内でアイソトープ検査という、微量の放射性物質を飲み込み翌日どれくらい体内に吸収されているか確認する検査まで受け、バセドウ病という診断になりました。

聞いた話では、特にアイソトープ検査は受けなくても、バセドウ病の診断はできるようです。私の場合は、バセドウ病と診断できる血液検査が陰性だったため(検査のタイミングにもよるし、個人にもよるらしい)、血液検査だけでは診断できませんでした。そのため、腫瘍の可能性もあり、アイソトープ検査を行ったという経緯になります。

最後のアイソトープ検査が終わった後、検査を担当くださった若くて金髪長身イケメン(真面目な時にごめんなさい)の放射線治療専門医から、バセドウ病だと申告され、治療法まで紹介いただきました。そして、この時、私は初めて、バセドウ病は一生向き合っていかなければならない病気だということを知ります。

もちろん、バセドウ病は治療法が確立されていることも良く説明いただいたし、知らなかっただけで女性には珍しくない病気とも教えていただいていました。それでも、元気の良さと健康が、自他共に認める私の取り柄だったために、頭を岩で殴られたような衝撃でした。もちろん診断されただけで、治療はまだ始まっていませんでしたし、精神状態も相変わらずだったというのもあるのでしょうが、あの時の自分の中の感情は、言葉には表せられません。

同時に、これまでずっと続いていた不調の原因がわかり、安堵したのも事実です。この時、渡米後6ヶ月目でした。

【治療法】
さて、バセドウ病の対処法は主に次の3つです。1)薬物療法、2)手術による甲状腺摘出、3)アイソトープ治療による甲状腺の機能停止、になります。

バセドウ病は、完治が難しい病気です。薬物療法は、あくまで甲状腺ホルモンの量をコントロールするもので、「治療」ではありません。また効果に個人差やムラがあったり、副作用もよくあるとのこと。ちなみに、3は放射性物質を投与し甲状腺を中から破壊し、甲状腺自体は物理的に存在しているものの機能は全くしていない状態にさせる治療になります。そのため、2と3では、その後一生、ホルモン剤を飲み続ける必要があります。

アメリカだと俄然3を勧められました。こちらでは3が主流のようです。2の手術はほとんど行われていないそう。特にスタンフォードにいたため、必要な施設がキャンパス内に全て揃っていたからかもしれません。

ただ、家族と遠く離れたアメリカで、一生に関係してくる重要な治療を決断する勇気も、治療からくるかもしれない副作用等をひとりで乗り越える自信も到底なく、私は1の薬物療法を選択しました。

最初の1週間程度は副作用(軽い頭痛、これまで以上の眠気、これまで以上の極度の疲労)がありましたが、これも副作用としては軽い方で、継続できました。体質によっては、継続できないくらい副作用がある方もいるようです。ホルモン亢進症を抑える薬は2種類ありますが、私はMethimazole(メシマゾーレ)を服用しています。服用後も、内分泌専門の先生と相談し、量を調整しています。

また、薬物療法では、完治はしないものの、2年間服用すると、50%の確率で甲状腺の機能が通常化するとも説明されました。再発の可能性はとても高いのですが、とにかく今はまず、その50%を信じて服用しています。もしダメだった時は、その時こそ2か3を選択しようかと考えています。

【その後/私見】
さて、こうして薬物療法を始めた私。
幸い、薬との相性が良いらしく、とても順調に、予想以上に順調に、私には効いています。服用後3週間後に受けた血液検査では既に甲状腺ホルモンの数値が、異常範囲ではあるものの減少していました。服用後1ヶ月後には、これまでが嘘のように気持よく目覚められるようになり、本当に久しぶりに心から笑う元気を取り戻せました。

そして、ここ最近は、集中力・興味・やる気も戻ってきて、今では勉強が楽しくて楽しくて仕方がありません。

これまでずっとペーパーを書くのにも、まず論理構成ができていないし、文章を書き始めても、単語ひとつ書いては手が止まり、ひと文書いたら横たわりという状態でした。それがある日ペーパーを書いていたら、これまで曇っていた頭の中が、突然澄み渡り、以前のように言葉が溢れ出てくるようになったと感じる決定的な瞬間がありました。涙が出ました。

病気になったことは受け止めていますが、正直今でも、なぜ今年じゃなきゃいけなかったんだろうとどうしても考えてしまい、悲しくなることもあります。本当は今のように積極的に勉強に1年間取組めたのだと思うと、ただただ悔しいです。
そのことをちらっとずっと支えてくれていた学校の職員の方に漏らしたことがあるのですが、そしたら”There is no perfect timing to be sick”と言われ、それも確かにと納得しました。病気になるのに良いタイミングなんて一生ありません。

少しポジティブに考えると、今年だったからこそ、スタンフォードメディカルという世界屈指の施設内で全ての検査を行えて、しかも強力な学生保険に加入していたため、高額の検査も破格の値段というより無料で受診できました。すごいことだと思います。

しかし、もう少し早期にわかる可能性は十分にありました。
全てを「ストレス」と片付けずに、「異変」と捉えて、せめて血液検査だけでも受けていれば。誰かがカウンセリングのみならず、病院にも行ってみてと言ってくれていたら。そして、何より、バセドウ病の症状について少しでも知識があれば。

そう思い、この記事も書いています。
もし周りで同じような症状で悩んでいる方がいたら、カウンセリングと同時に血液検査も勧めてあげてください。損はありません。

アメリカでもそこまでバセドウ病に対しての認知度は高くないです。病気のことを話すと知らない人が大半です。同時に、これは日米に共通していることですが、私のことを話すと、実は私の親/親戚/友人もそう、とバセドウ病や甲状腺の病気を患っている方が近くにいるという方も多いです。きっと知らないだけで、私の知人の中にもきっと甲状腺の病気の方はけっこういるのかもしれません。

【感謝】
最後にどうしてもこの場をお借りして、伝えなければならないことがあります。

それは、周りへの感謝です。

渡米後、元気を取り戻すまでの7ヶ月、正直に本当にとてもとても辛かったです。

その間、連絡くれた日本の友人たちに「勉強が楽しくない」「なんでここにきたのだろう」「何もしたくない」「休学するかも」と数えきれないほどの弱音をぶつけていました。きっと戸惑わせたと思います。ごめんね。
でも、いつも受け止めてくれて、ありがとう。信じてくれててありがとう。

良い歳なのに、親と連絡する際には、苛立ち⇒気力の低下⇒自分自身に絶望、していく過程をつい甘えて見せてしまっていました。どれくらい心配をかけたかわかりません。心配症の親の気持ちを考えると胸が張り裂けそうです。
元気を取り戻し、勉強が楽しくて仕方がないと伝えた時に涙してくれた母親。元気になって、レンタカーをして勝手にあっちこっち出かけていることを事後報告したら「これだから元気になると困るんだよなぁ」と、とても嬉しそうに笑顔で言う父親。そして、ずっと暖かい言葉で励ましてくれ勇気づけてくれていた兄は、それらのやりとりを満面の笑みで聞いていました。
皆本当にありがとう。私は元気です。でも、油断禁物を心に無理しないように気をつけるね。

そして、出会った頃から自分を見失っている私に対しても、優しくサポートしてくれたこっちでの友人たち。皆本当に頭が良くて、めちゃくちゃ優秀なのに、人間としても完璧過ぎるほど、良くできています。私の分野が教育だからなのか、周りの学生同士の競争心は全くなく、むしろ皆で手を取り合って、一緒に卒業しよう!ととてもポジティブです。勉強が全くできていない時も、「一緒に勉強しよう」と声かけてくれるアフガニスタン出身の友人、「美味しい紅茶があるの」と家に招待してくれるカリブ海出身の友人、課題について相談すると気前よく「私はこうしたよ」とヒントをくれた中国、香港、アメリカ人たち。皆がいなければ、とてもじゃないけど、ここまで来れませんでした。近しい友人たちには病気のことを話したら辛かったねと一緒に涙してくれ、また、これからが楽しみだね!と言ってくれました。今では授業中もバンバン発言しているし、「Ryokoは本当は冗談も言うし、すごく笑う人なんだね」と、皆も驚いています。

大学院留学、勉強のクォリティーのみならず、素晴らしい出会いに溢れています。良いですよ。

また、こっちに来てから、ずっと側で辛抱強く私を一番に信じてくれていた素敵な人とも出会えました。日本の地球の反対側から、耐震工学を勉強しに同じくスタンフォードへやってきた、多才でとても尊敬できる人です。自分のことでいっぱいいっぱいで、他人のことなんかこれっぽっちも考えられない状態だったので、ずいぶん迷惑をかけたとも思いますが、周りが異口同音で休学を私に勧める中、たったひとり、「どうせ休学するならあと一週間やってみたら?」と励まし続けてくれていました。「あと一週間」が続いていって、ついには病気が発覚し、今では卒業間近です。感謝してもしきれません。

他にも暖かくサポートしてくれた職員の方、お世話になっている素晴らしい知識と人格者である医者、そして迅速に対応してくださった奨学金関係者の方々の暖かい理解があって、ここまでやってこれました。本当に全てに感謝です。

人間、ひとりでは生きていけない、とか、健康があってこそ、と言いますが、これほど濃密にそれらを痛感することはこれまでありませんでした。病気があったからこそ気付けた人の優しさや暖かさがそこにはありました。今、私は胸を張って言います。

私は、バセドウ病です。そして、幸せです。

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最後に、バセドウ病については、この記事限りとします(そのため長くなりました)。これからは、少しずつスタンフォード情報を再開していけたらと思っています!撮り溜めている写真があるので♪
もちろんバセドウ病についても何かご質問等あれば、遠慮なくコメントください。

長い記事にお付き合いいただきまして、ありがとうございましたm(_ _)m